以前の仕事仲間、中谷が経営している会社に社員として入社しました。
入社後、僕は営業部の主任という形で勤務を開始した。
NTTを辞めて入社して来た人や、
同業他社から引き抜いて来た人もいて、
以前より中谷はやる気になっている様に見えた。
休みは週一回だが、何曜日に休むのかを割と自由に決めれたので、
就職活動を再開したい僕には丁度良かった。
社員として入社した以上、辞めるまでは全力で働きたかった。
毎日遅くまで外回りをし、帰社してからデスクワークをし、
家に帰ってからも仕事をした。
中谷も、以前の様なサボり癖はあまり出てなく、
毎日頑張っている様だったので、少し安心した。
だが。
一ヶ月目の給与が支払われない。
昔の仕事仲間にあまり金、金と言いたくはないが、
こっちも社員として毎日働いている以上、
もらうべきものはもらわなくてはならない。
こっちにも生活があるのだ。
引っ越したばかりで貯蓄もあまり無かった。
結局、家賃、ガス、電気代、携帯代の請求書を中谷に見せ、
代わりに払ってもらう事になった。
生活費として、一週間で3000円~5000円程度もらった。
お金が回っていない様には見えなかった。
僕が入社する前も、
給与はきちんと払うという約束だった。
一瞬、「辞めよう」と思ったが、
辞めたら辞めたで、生活が出来ない。
一週間分の生活費も無い状態で、イキナリ辞める訳にはいかなかった。
それに、辞めた後、未払いの給料が払ってもらえるかどうかという不安があった。
勤務して二ヶ月が過ぎた頃、
中谷がお金を渡すのを渋り出してきた。
おかしい。
売上はどこに行ってるんだろう。
相変わらず家賃等は中谷に払ってもらっていたので、
僕はどんどん身動きが取れなくなって行った。
中谷の仕事の仕方は好きじゃなかったが、
普段は仲が良かったし、信頼もしていた。
まさか裏切られるのだろうか。
そういう考えが頭をよぎる様になった。
入社して三ヶ月少し経った頃。
全くお金がもらえなくなった。
携帯が止まり、ガスも止まりそうだった。
食事は一日一食になった。
米を買うお金も無く、
うどんやカップラーメンを食べる様になった。
毎日働いているのにお金が無いという状況は、
全く意味が分からなかった。
もうその頃から僕は会社に行かなくなった。
そこまでして中谷の会社で働く必要性が無かった。
毎日毎日お金の催促をした。
払ってもらわなければ死んでしまう。
会社に行かなくなって一週間程度経過した後、
中谷から、
「ポストにお金を入れといたから」というメールが来た。
すぐにポストに走りたかったが、
もう2日も何も食べてなかったので、のそのそと歩いていった。
ポストに入っていたのは三万円だけだった。
信じられなかった。
すぐに電話代を払って電話をした。
「給料はどうなってる?」と問い詰めると、
「そんな最初の頃の話を持ちだして来られても困る」と。
全てがどうでも良くなった。
最初から払わないつもりで雇ったのかもしれない。
売上を持ち逃げするつもりだろうか。
もう話をするのも馬鹿らしくなって、すぐに電話を切った。
とりあえず、とりあえず当面の生活費は出来た。
一週間は生活出来るだろう。
すぐに仕事を探した。
幸運な事に、製菓工場での短期の仕事があった。
給料は週払い。
日当が6000円程度しか無いが、
それでもとりあえずは働いた。
本当はいけない事なのかもしれないが、
週七で働いた。
とりあえずはお金が欲しかった。
製菓工場で働き出してすぐ、ガスが止まった。
未納が続いていた為だ。
この位の時期は、
給料をもらっては支払い、給料をもらっては支払いという状態だった。
製菓工場で働き出して一ヶ月が経とうかという頃、
遅れていた支払いも済ませ、だいぶマシな生活が送れる様になってきた。
そんな頃、中谷からメールが入ってきた。
「管理会社の社長が連絡を取りたがっている。次に入る人も決まってるから、
今月末までに荷物を出す様に」
呆れた。
呆れ果てた。
どういう頭の構造をしているのだろうと思った。
まず、部屋の契約をしているのは僕自身だから、
何か連絡事項があれば僕に直接連絡して来るべきだ。
何らかの事情で部屋を出て行って欲しいのであれば、
キチンとした手続きを踏んで、告知するべきだ。
それが、「次に入居する人も決まっているから」というのはどういう事か。
僕は無視をする事に決めた。
そんな事が出来るハズが無いし、
中谷が何をしたいのかが分からなかった。
何かの駆け引きでもするつもりで、脅して来ているのだろうかとも思った。
管理会社自体は、何年も続いている、割とちゃんとした会社だったので、
もし、何らかの理由で退去して欲しくなったら、
ちゃんと手続きを踏んで来るだろう。
そう思っていた。
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