ホームレス生活をしていると、人とコミュニケーションを取る事が日に日に減ってきて、
徐々に無表情になり、会話中に言葉が出て来なくなり、段々考える事が苦手になりました。
やはり人とコミュニケーションを取ったり、社会の一員として生きているのと、
誰とも話さず、社会から隔離されて生きているのとでは、
脳に何らかの影響があるのかもしれないと段々と思い始めました。
最近読んだ本に似たような内容がありましたので、紹介します。
淋しい人はボケる 認知症になる心理と習慣 高島明彦(著) 幻冬舎新書(2014/7/30発売)
そのものズバリのタイトルなのですが、孤独が脳に与える影響が分かりやすく書いてありました。
・ストレスが脳を老化させる
①精神的・肉体的なストレスを感じる
②ストレスを感じると血中のアドレナリン濃度が上がり、
ストレスの対象と戦ったり逃げたりする準備が整う
③アドレナリンの過剰分泌を抑える為、「コルチゾール」が放出される
④長期的にストレスがかかり過ぎると、コルチゾールが過剰分泌されてしまい、
免疫力が低下する。そしてその後脳の「海馬」が萎縮して行く
というのがストレスが脳を傷つける流れの様です。
ストレスがかかり過ぎると海馬が萎縮するというのは、一種の防御反応だと著者は言います。
海馬というのは記憶を作り出す部位なので、
つらい記憶を残さない為に、萎縮するのではないかという事です。
これは僕自身何となく思い当たるフシがあります。
ホームレス生活が始まった当初は毎日緊張していて、常にイライラしていたのですが、
段々現実感が無くなって行った記憶があります。
自分の事が他人事になってしまう様な、そんな感覚になりました。
やはり脳が現実逃避しようとしていたのでしょうか。
・孤独は脳に悪い
孤独=一人暮らしではないと著者は言います。
自分自身が、「孤独であると感じるか」「周囲から疎外されていると感じるか」
この二点が重要な様です。
フィンランドでの研究が紹介されていますが、
既婚者やパートナーがいる人は一人暮らしの人よりボケるリスクが50%低いそうです。
気になるのが、「離婚してその後独身をつらぬいた人」に関してはボケるリスクが、
既婚者やパートナーがいる人に比べて3倍にもなるそうです。
やはりそれまで誰かと共に暮らしてきた期間があるゆえ、孤独感が強くなるのではという事です。
またマウスでの実験結果も紹介されています。(ネズミは基本的に集団行動をするそうです)
1匹だけ完全に隔離されたマウスも人間と同じように、
脳の神経伝達が上手く行かなくなり、海馬の縮小が認められたそうです。
・なぜ孤独を感じると、脳の老化が加速されるのか
寂しさを感じると、「側坐核」と呼ばれる、やる気を司る部位の活動が低下するそうです。
何もやる気がしなくなり、活動しなくなり、会話もしなくなり、新しい事を学ぶ意欲も無くなる。
そして脳への刺激が無くなり、脳の血流が落ち、脳の老化が加速するという仕組みだそうです。
僕自身、ホームレス生活が始まってから孤独感と常に戦っていましたが、
やはりそれじゃ駄目だったんだろうなと思います。
「どうでも良いや」って思ってしまう事もホームレス中すごく増えてしまったりして。
どんどん自分自身がぼやけてくるんです。
そんな風に感じる事が多々ありました。
やはり長期間社会から隔離されてしまうと脳に影響があるんでしょうね。。
少ししか紹介出来ませんでしたが、
孤独が脳に与える影響のメカニズムやその対処法や、
孤独な人でも脳を活性化させて生活していく方法等、
孤独感を感じている方に役立つ内容が多く紹介されています。
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