2012年6月26日火曜日

「週刊ダイヤモンド」の生活保護特集を読んだ感想


6月25日発売の週刊ダイヤモンド。

ここ最近ネットでも毎日毎日生活保護の話題が溢れかえっていてうんざりするけど、

ちゃんと読み物としてまとまっていたら良いなぁと思い、買って読んでみた。


生活保護特集の中身は、Part1,2,3となっていて、

Part1が、『「生活保護天国」の現実』というテーマ。

最近よく言われている「働いたら負け」というのは何故かという内容。

「月10万円で働き、その後派遣切りにあった男性」

「見た目はまるでホストの様な受給者」

という、分かりやすいというか、ありがちな例を取り上げた後、

生活保護受給者の実質的な年収は450万~500万(医療費や税金の減免等を含む)とし、

最低賃金ギリギリのワーキングプア層との比較。

そして、闇金ウシジマくんの作者、真鍋昌平氏のインタビュー。

真鍋昌平氏のインタビューは、まぁ最低限の事は調べて話してるんだなという印象。


Part2は、『生活保護"増殖"の裏側』というテーマ。

生活保護受給者増大の背景として、貧困ビジネスを行うNPO団体や、

生活保護受給者に対して不必要な治療を行う医師の記事。

日雇い労働者がNPO職員に誘われ、NPO団体が管理するアパートに入所し、

1部屋に何人もの受給者が押し込まれ、家賃・光熱費等を搾り取られるという話や、

公営ギャンブル場で政治団体に声をかけられ、生活保護の申請を助けてもらい、

その後政治活動の手伝いをした。という話などが紹介される

そして、生活保護受給審査の甘さ。

これは僕もすごく気になっていたので読みふけってしまった。

生活保護の審査は基本的に性善説に立って行われる。


生活保護の申請をして受給までは大体2週間程度だと言われているが、

その中で、

①銀行口座の残高
②不動産所有の有無
③株の所有の有無
④家族に扶養能力があるかどうか
⑤反社会的な組織に在籍していないか

というチェックポイントがあり、

上記の5つのチェックポイントの審査は「ザル」であると指摘している。

現状、銀行口座の残高のチェックは、申請者の居住区近辺の銀行のみ。

他の市区町村の銀行はチェックされていない。との事。

株式も同様に、チェックするシステムが無い。

不動産についても自己申告。

「なし」と深刻されても、確認するシステムが無いので、

手間がかかりすぎ、申告に頼るしか無いのが現状。としている。

反社会的な組織に在籍していないかどうかという点も、

刺青が見えていたりする場合は、警察に照会するという程度との事。

なので、頭の中に完璧に設定を作って役所へ行けば、

受給し放題であるとしている。

これは僕も確かにそのとおりだと思う。

僕と同じく不法行為の被害によりホームレスになった訳じゃなくても、

僕と同じ状況を窓口で話せば、

申請は通ってしまうのではないか。

僕は警察に相談しに行った記録が警察署に残っているのだけど、

そういった記録を照会するという話もなかったし、実際照会していないと思う。

唯一、役所のチェックが機能している部分として、

受給後の収入のチェックがあげられる。

僕もそうだったが、他に収入がある場合、給与明細等を毎月提出しなければならない。

そして一年に一度、所得税の課税情報と受給者の申告が照らし合わされる。

だけど、

表に出ない収入の把握は現状難しい。

事業者側が税務署に通知していなかったり、偽名で日雇い労働をしていたり、

個人で多少の収入がある場合はなかなか発覚しない。

その後、「受給者の自立」という記事。

生活保護受給者全体の中で、働いて生活保護から脱するのは2%。

生活保護世帯のうち、労働が可能な若い層が含まれる世帯は、

17%しか無いとの事

その中で、生活保護受給者に対してハローワークやNPO団体が行なっている就労支援、

生活保護受給者を積極的に採用している企業の社長さんの話が挙げられる。


Part3は『国際比較・財政・歴史で検証』というテーマ。

生活保護が時代と共にどう変わっていったかというデータや、

他の国との福祉制度の比較。

日本の貧困率が15.7%と、諸外国と同じかそれ以上に高いとした上で、

生活保護率は1.6%と、諸外国に比べて低い。としている。

「中~低所得層への公的扶助がほとんど無く、最貧層までにならないと扶助が得られない」

といった意見や、

「給与の低い若年勤労者でも、住宅扶助等を得られるようにするべき」

という意見が紹介されている。


あまり長々と書いても書ききれないし読みづらいと思うので、

内容紹介はこれくらいにしておきますが、

割りと読みやすい内容にはなっているなぁと思いました。

編集側の主観はあまり無く、

データや事例を出し、読者側に考える余地を与えてくれている様な印象だった。

読む人が読めば、ネット上で拾える記事をまとめただけ、という印象を持ったり、

今までに読んだ事ある話がまとまっているだけという内容かもしれないけど、

今まであまり生活保護制度の中身について知る機会が無かった人にとっては、

割りと読みやすい内容の記事なんじゃないかなぁと思います。

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